父が昨晩、控えめに私の部屋のドアを叩いて「少々おききしたいことがあるんですがよろしいでしょうか」と言った。
要は「カメラ機能のある双眼鏡で撮影したものをパソコンで見たいけどどうやったらいいのか」という内容だった。でもUSBでつなぐところまではちゃんとやってあったのだ。で、私が説明書を見ている間にカメラを認識したとおぼしきダイアログボックスが出てきた。「なんだちゃんとつながってるじゃん」と、データのコピーの仕方と、フォルダのリネームの仕方と、要らないファイルの消し方を教えた。（デジカメだって同じなんだがな……）
ところで現状内蔵メモリだけ使っていたようだったが、もっと撮りたいというので、SDメモリを買うように言った。そしたら「買ってきて」と言ったので、「自分で買って来なさい。デジカメのと同じだから」と言った。
そうしたら今日早速買ってきた。そしてうきうきと双眼鏡に入れようとして、「あれ、これ入らないぞ。サイズが違うぞ」と言った。
「SDメモリをちゃんと買ってきたなら入らないわけないよ。間違ってコンパクトフラッシュメモリ買ってきたりしてないよね？」「あ、それだ」。
……何故間違えるか。
「ちゃんとメモって行ったのに」。メモっても買う時間違えれば世話ない……。
そして父は言う。「コンパクトフラッシュというのはほかには使えないのか」「私のデジカメでは使えるけど」「じゃあ、りこにやるよ」「でもSDメモリどうせ買うんでしょ？取り替えてもらえるかお店で聞いてみればいいじゃない」
と言ったのだが、どうも「うん」と言わない。……行くのが面倒くさいらしい。しかし「お金ムダに使うことないじゃん。取り替えてもらいなよ。一緒にいってあげるから」と言ったら、間髪入れずに「うん」と言った。
……一緒に行こうが面倒なのはかわりないと思うのだが、何故一緒に行くなら行く気になるのか。
そんなわけでその後すぐ一緒にお店に行った。お店の人は大変親切で、箱を一度開けてしまってあったにもかかわらず「元の状態に復元できそうだからいいですよ」と、SDメモリと取り替えてくれた。しかもSDメモリの方が安かったので、お金も返ってきた。
……よかったな、父よ。取り替えてもらえて。
そのお店には車で行ったが、駐車場で、父は「あ、朝もここに一台分停められそうだったからここに停めたんだよ」と、さぞ出入り口に近いいいところだろうと自慢げに、斜線部分に停めようとした。
「斜線部分は停めちゃいけないところだろう！」
と叱った。わかっててもわざとやったのかと思ったのだが、本気で斜線部分に停めてはいけないとわかっていなかったらしい。
……。
