我楽多日誌

日常のあれやこれや。最近は主に作ったお菓子と読んだ本(主に漫画)。手工芸系も昔は合わせて書いていましたが、別ブログ(https://riko122.blog.fc2.com/)になっています。日常のつっこみは最近はTwitterです。

ある日の池上線

東急池上線沿線に住んでいた頃のことである。
東急池上線五反田駅蒲田駅を結んでいて、五反田駅蒲田駅ではそれぞれ行き止まりになる路線だ。

さて、ある日。東急池上線五反田駅の改札を通った私は改札に一番近いところ、即ち行き止まりに一番近い車両に乗車した。それはつまり、進行方向一番後ろの車両ということだ。
その車両は適度に混んでいて、私の近くには二十歳前後かなあ?という感じの女性二人と男性一人の三人連れがいた。
そのうちの女性一人(以降Aさん)が、電車が動き出したら突然「ああ!」と言った。男性が「どうした?」と訊くと「ここ一番後ろなんだ〜。一番前に乗ればよかったねえ」とAさんは答えた。「前の方が便利なの?」という問いにAさんは「景色がいいじゃない?」と言った。
……一番前は確かに楽しいかもしれないが……それはともかく、どうして動き出すまでここが一番後ろだとわからないんだ。線路は突き当たっていただろう……、と密かに思った。

 しばらくすると、乗務員室の中をじっと見ていたらしいAさんがまた口を開いた。「この電車動かすの簡単そうだね」。もう一人の女性(以降Bさん)が「どうして?」と訊くと。Aさん「だって、この人ほとんど何もしてないよ」。
 ……あのね、ここは一番後ろなの。貴方が見ているのは車掌さんよ……と思った。

 しかし驚いたことにBさんは「そうだね」と同意した。が、ちょっとしてから「でも、運転してるのは前に乗ってる人なんじゃない?」と言ってくれたので、少しほっとした(苦笑)。Aさんは「あ、そっかー」と納得した。

 しばらくすると、Aさんがまた口を開いた。「これって、逆に進む時どうするんだろうね?Uターンするの大変そうだよね?」
 おいおいおいおいおい。君は今まで電車に乗ったことがないのか?!しかも車掌さんを運転手だと思った位なんだから、車掌室にも運転設備が整ってるのは見てたんだろうに、なぜUターンなどという発想が!?

 ……ここまできて、それまで何となく他人のふりをしていた、同行者の男性が、たまりかねたのか「頼むからもう少し小さな声で話してくれ……」と言った。
 そんなことより、正しいことを教えてあげてくれよ……と私は思った……。

 非常に笑え、かつ、脱力したある日の池上線だった……。